《はじめに》
 国際色豊かな“猪飼野”界わいは、大阪のもう1つの顔である。
 “猪飼野”の地名は現在の地図にはないが、JR鶴橋駅・桃谷駅の東方、平野運河の両側一帯あたりがおおよその位置である。在日韓国・朝鮮人の街として有名だが、このまちに定着した事情をはじめ、古い歴史や地名の由来などは、一般にはあまり知られていない。
 “猪飼野”は、異文化が同居する味わい深いまちである。数々のエピソードがあり研究領域も幅広い。今回、旧村の歴史や史跡、猪飼野と在日韓国・朝鮮人との縁などを調べ、現在ここで生きる人々の活動や思いを取材するうち、大阪の中でも珍しいほど、歴史的文化的な歩みが、まちや人々に深く刻まれているのを痛感した。この地域の営みそのものが、個性あふれる資源であることをお伝えできればと思う。

大阪再発見 鶴橋・猪飼野

           栗本 智代
written by Tomoyo Kurimoto

「猪飼野保存会の地車(夏祭り)」(上)と
「コリアゲート」(下)
第2回

鶴橋猪飼野

旧村の歴史とコリアン文化が同居するまち